林純薬 – 電子材料、試薬、標準品の製造、販売林純薬 – 電子材料、試薬、標準品の製造、販売

2008年

2008年11月10日製品情報

第18回電気学会東京支部新潟支所研究発表会に弊社高性能シリコンエッチング液が紹介されました

高性能シリコン異方性エッチング液の開発

○ 田湖次広(三洋半導体製造株式会社新潟工場)   
青山哲男 木村真弓 勇 謙司(林 純薬工業株式会社)

1.はじめに

近年、半導体特殊デバイスでは立体的な構造を必要とするためシリコン基板自身を加工する工程を追加している。この工程はシリコン基板(100)に薬液による異方性エッチングを行い、シリコン結晶方位に沿った溝を加工している。

今回開発したシリコンエッチング液はシリコンエッチングが進まない現状の課題解決とアルミの防食効果を同時に達成した画期的なものである。また今後発展が期待されているマイクロマシニング技術において、所望の立体的な構造を形成するためにシリコンの異方性エッチング技術が用いられており、こちらへの適用が可能である。

2.新プロセス開発の必要性

上述の通り、今後の特殊デバイス新製品分野では、シリコン基板加工工程が必須である。新製品開発に際しては、既存異方性エッチング液のシリコンエッチングが全く進まない問題の改善に加え、加工工程の最大の弱点である配線材料のアルミニウムまたはアルミニウム合金が腐食しやすい性質を同時に解決する必要があった。

また、既存の異方性エッチング液は単価が高く、同業他社と薬品会社との共同開発品のため組成成分が開示されておらず類似品が造れない問題もあった。それらを実現するために、昨年アルミエッチング液を開発した経験から林純薬工業と共同でシリコンエッチング液の開発に取り組んだ。

3.シリコンエッチング液の詳細

まず、エッチングの課題について検討した。既存のシリコンエッチング液はTMAH(4メチル水酸化アンモニウム)にシリコンを1.4%含有したものである。これを用いた溝加工工程のプロセスフローはBHF< 自然酸化膜除去>→TMAH<Si異方性エッチング>→BHF<洗浄>処理である。

シリコンエッチングの反応は大きく分けて2つに分けられる。

1) TMAHによる異方性シリコンエッチング
水酸化シリコンが形成され、Siが溶解する。
Si+4OH→Si(OH)

2) HF,HNOを用いてのシリコンエッチング
シリコンが酸化し、その酸化膜(SiO2)をHFで溶解する。
Si+2HNO→SiO+2HNO
SiO+6HF→HSiF+2H

両者は反応モデルが異なり、今回のエッチングの課題はシリコン酸化反応を無視できることが判った。したがって被エッチング面の阻害物の影響、TMAHの分解不足及びOHの不足の影響が考えられ、この2点について検証を行ったところ微量の酸化膜とF(フッ素)を検出、OHの不足を発見した。上記問題点を解決するために、TMAHに添加剤を加えることで以下の2つの能力をTMAH自身に持たせた。

●酸化膜除去能力を付加
●エッチング液の導電率を高くし、高反応性OH生成

この2つの能力でエッチングの課題は完全に撲滅できた。

次にアルミの防食について検討した。
AlとTMAHの反応は以下にように進み水酸化アルミニウムになり、溶解する。
   Al+3OH→Al(OH)
AlとTMAH、Alと添加剤の反応を以下に示す。

news20081110-1

添加剤は触媒的に寄 与し消費されない。これは薬液のpHを保持でき、薬液ライフの向上に直結している。また過去の既存薬液の調査結果からTMAHにケイ素含有化合物が含有されていることを確認していたので、上記TMAH+添加剤にケイ素化合物を添加した。

Alとシリカの反応ははっきりしていないがケイ素化合物が分解、反応し、ケイ酸アルミニウムが生成すると推測している。またケイ素化合物はTMAHと反応しpHを低下させる。したがって、水酸化アルミニウムとケイ酸アルミニウムの溶解量が低下しアルミニウム表面に付着する。この2つの阻害物によりアルミニウム表面でOHが反応できなくなり、アルミニウムの防食効果をもたらした。

4.まとめ

TMAHに添加剤とシリカを添加することで高性能シリコンエッチング液を開発することができた。以下に開発成果を示す。

● シリコン異方性エッチング可能
news20081110-2

● 薬液価格:重量当り、30%のコストダウンに成功
● 特許出願済
● Al防食効果達成(0nm/min)
● 薬液ライフが長い、環境に優しい
● シリコン変質層(ドライエッチングダメージ層)でも簡単に異方性エッチングが可能
● 添加剤濃度変化で前処理(BHF、HF等)不要
● 同業他社数十社にて引き合い中

以上

製品パンフレット

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